執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
 

 情報流出のことを問われたわけではないけれど、このタイミングでの異動なんて、私が疑われているのは間違いない。

 直接事情を聞かれればちゃんと説明するつもりでいるのに、上からはなにも言ってこない。
 こんな形で突然本社を離れきっとみんなに迷惑をかけてるのに、詳しい事情も説明できない。

 今の状況はまるで生殺しのようでつらかった。

 それどころか、もしかしたら同僚たちはみんな、私をライバル社に機密情報を流した犯人だと思っているかもしれない。
 信頼していた仲間たちから疑われているかもしれないと思うと、気持ちが落ち込みどうしていいのかわからなくなる。

 雅文からもあれから一切連絡がなかった。
 こっちから私はやっていないんだと真実を伝えようとも思ったけれど、メッセージを打ち送る寸前でいつも手が止まった。

< 242 / 283 >

この作品をシェア

pagetop