執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
「ありがとうございます」
はにかみながらお礼を言うと、後輩の谷村くんがかけよってくる。
「おかえりなさい、広瀬さん!」
たくましい体つきの彼に詰め寄られ、その迫力にあとずさりをする。
けれど彼はおかまいなしで私の両手をとると「広瀬さんがいない間、俺をはげましてくれる人がいなくてすごくさみしかったです!」と大きな声でいった。
まるで、ひさしぶりに飼い主に対面した忠犬のようだ。
谷村くんは前から私を慕っていてくれたけれど、こうやってがっしりと手を握られるとさすがに困る。
これはどうすればいいんだと視線を泳がせていると、誰かが谷村くんの首根っこをつかんでぐいっと私から引き離した。