執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~

『俺にしろよ』

 状況が飲み込めず混乱する彼女に向かって、俺は静かに言う。

『浮気を繰り返す最低な男はやめて、俺にしろよ』

 彼女を泣かすような男から奪って、自分だけのものにしたい。

 三年前に彼女から別れを切り出され別れたのに。
 まどかを前にすると、欲望が簡単に理性を打ち砕いた。

 そして、まどかが酔って混乱しているのに付け込んで、ホテルにつれこんだ――。



 昨夜のことを思い返しながら、俺はベッドに腰をおろす。そして右手で頭を抱えた。

 ベッドの中のまどかはめちゃくちゃかわいかった。外見はすごく大人っぽくなっていたのに、反応は付き合っていた頃のまま初心で、恥ずかしそうに必死に声をこらえて……。それでも快感に負けて次第に乱れていく様子が、いとおしくて仕方なかった。

 だけど朝になり酔いがさめた途端、俺の前から逃げ出したまどか。彼女が残したパンプスを見下ろしながら、俺はひとり大きなため息を吐き出した。



< 33 / 283 >

この作品をシェア

pagetop