執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
……もしかして、雅文が持っていった?
そんなありえないことを考えて首を左右に振る。
雅文が私の忘れ物をわざわざ持っていくなんて考えにくい。
私たちはもう恋人でもなんでもないうえに、彼は現在アメリカで働いていて会う予定もないんだから。
東京とロサンゼルスは直線距離で約九千キロ。
飛行機に乗ったって十時間以上かかる遠い土地で彼は暮らしている。
昨日のような偶然の再会が二度もあるはずがない。
なんとなくスマホの地図アプリを起動して画面を見下ろす。
広い太平洋を隔てたその距離を実感した私は、枕につっぷしてため息をついた。
すると耳の奥に雅文の艶のある声が甦った。
『まどか』と私を呼ぶ甘い声色を思い出し、ぶわりと全身の肌がざわめき熱を持つ。