執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
ひとりため息をついていると、後輩の谷村くんが「おはようございます」と挨拶をしながら私のデスクに近づいてきた。
「あ、おはよう谷村くん」
谷村くんは私のふたつ下の二十六歳で、体育会系のまっすぐな男の子だ。隣の地区を担当していて、私を慕ってくれている。
「広瀬さん、聞きました?」
唐突にたずねられ、なんのことだと首をかしげる。
「瀧内さん、帰ってくるそうですよ」
「は……?」
予想外の言葉に、一瞬頭が真っ白になった。