5時からはじまる甘い罠。
「…あ、えと、クラスの学級委員の男の子です。
こないだの球技大会のことで、少しお話を…」
わたしは保健委員なので…。
廉くんはちらり、とわたしと視線を合わせた。
……な、なんだろう……
なにかを探るように、じっと見られて、背中を汗が伝う。
「けっこう、人と喋れるようになったんだね」
わたしはそれには、小さくうなずいた。
里奈ちゃんもそうだし、クラスの他の人も、
前よりわたしにふつうに話しかけてくれることが増えた気がするのは、多分気のせいじゃない。
まだまだお友達には遠いけど、わたしは、もっともっと頑張りたい、と思うようになった。