5時からはじまる甘い罠。



そんな変化は、たぶん、



「廉くんの……おかげです」



廉くんが屈託無く声をかけ続けてくれるから、みんなもわたしに対する印象が変わったんじゃないか、と思う。


そういうと、廉くんは、いや、と首を振った。



「栞菜……変わったよ。

自分では気づいてないかもしれないけど。

気持ちが前に向いてるの、わかる」



廉くんがわたしを褒めてる。


夢みたいに嬉しいはずなのに、心の奥が切なくなった。


そんな気持ちを誤魔化すように、わざと明るい声を出す。



「あの……わたし、もっと頑張りたい!

もっといろんな人と喋って、

はやく、廉くんがいなくても大丈夫、って、安心させられるように……」


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