5時からはじまる甘い罠。
「……あ、ありがとう、廉くん」
「……」
廉くんと、ふたり。
その場に取り残されたわたし。
「れ、れんくん」
男子はいなくなったのに、廉くんはなにも言わない。
「あの……」
「……」
「ごめんなさい、迷惑だった……よね」
「……」
廉くんは無表情で、なにを考えているのかわからない。
だけど目の奥はいつもよりずっと冷え冷えとしている。
「栞菜は」
わたしは顔を上げる。
廉くんは、まっすぐにわたしを見ていた。
「栞菜は俺のこと誤解してるよ」