5時からはじまる甘い罠。
誤解…?
それってどういう意味だろう。
廉くんは珍しく、自嘲気味にいった。
「俺はお前が思うようなやつじゃないよ」
「廉くんは、優しいよ」
思わず、口を開いていた。
…知らないんだ。
わたしが毎日、どれだけ廉くんに救われてたか。
廉くんのかけてくれる言葉のひとことひとことが、どれだけ嬉しかったか。
「そっか」
廉くんは、ようやく堅かった表情をゆるめる。
その表情をみたわたしは、ようやく安心して、うん、とうなずく。
「ありがとう」
それでも廉くんの声は弱かった。
……嫌われるのが怖くて、
いつも、何も言えない。
でもこれだけは伝えたかった。
わかって欲しかった。
わたしがどれだけ廉くんに感謝しているか。
でも、視線を逸らした廉くんは、悲しそうにみえた。
「……ねえ。
俺。
お前がずっと誰とも喋れずにいればいいって思ってる、って言ったら、
……どうする?」