5時からはじまる甘い罠。
「……え?」
そのまま、目も合わせずに立ち去る廉くんの背中。
「どういうこと……?」
口から漏れた声は、あまりにも頼りなかった。
……きっと、わたしが間違えたんだ、と思った。
でもどこで間違えたのかわからない。
……優しい廉くんに、あんな悲しい顔をさせてしまうなんて。
わたしの存在が、廉くんを不幸にしている。
「………」
その時の様子を、影から見ていた人がいたなんて気付かなかった。