5時からはじまる甘い罠。
第6話
「あんた、何にもわかってないよね」
放課後、帰宅しようとしたわたしの前に、このあいだの先輩たちが立ちふさがった。
呼び出しって、なんで、女子トイレなんだろう。
わたしは、心ここに在らずで考える。
「こないだ言ったこと、理解できてないみたいだけど」
「いつまで更科の優しさにつけ込むんだよ、あんた」
廉くんの元カノの先輩が、近づいてきて優しげに首を傾げた。
「あんたなんて、廉にふさわしくないよ」
白く華奢な体から発せられる言葉は、重く鋭かった。
「またあんたと更科の新しい噂が広まってるし。
今日も昼休み、二人で会ってたらしいね?」
「大人しそうな顔して、結構計算高いんだ」
「全部更科を落とすあんたの計画なんでしょ」
わたしは、唇を噛み締めた。