5時からはじまる甘い罠。
「ちょっと………どうしたの」
あまりにも荒い息に、自分の体力の無さを痛感する。
でも、今は必死だった。
「……っあの、……ちがうんです。
誤解なんです」
わたしが話し始めると、
「もういいんだよ」
廉くんは優しく首を振った。
「俺、いつも強引だったから。
栞菜が断れないだけだって、わかってたよ。
……最近ずっと、栞菜が苦しそうだったことも」
だからもう俺に気を遣わなくていい、と付け加える廉くんに、
わたしは、
「そうじゃない!」
とさけぶ。
その剣幕に、
廉くんは言葉を飲んだ。