5時からはじまる甘い罠。




「実は、俺にもよくわからないんだ。

こんな気持ちになるの、俺も、生まれてはじめてで」



廉くんは自嘲気味に笑った。



「自分を変えるために努力する栞菜を応援したいのに、変わらないで欲しいなんて。

嫉妬なんて、ガキかよって」



嫉妬……?


廉くんが?


なんだか信じられないことを真面目な顔で言っている。




「いつも一生懸命なあんたといると、俺まで明るくなる。

それを見てるのが、たぶん好きなんだ、俺」



ねえ、この気持ちは、何だと思う?


いたずらっぽく尋ねる廉くんに、わたしは顔を真っ赤にした。


だってまるで、それは……


信じられずに、わたしは目を丸くした。


廉くんのその気持ちは、まるで………
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