5時からはじまる甘い罠。
でも彼女は、信じられないほど純粋で、臆病だ。
……つまり、俺の考えるようなことと、真っ白な彼女の考えには、大きな差がある。
この子はおそらく、高校生男子がどんなことを考えて生きてるのかなんて、何にもわかっちゃいない。
それを間違えて、愛しい彼女に嫌われるのだけは、避けなくてはならない。
ぜったいに。
「俺は、別にいいけど。
その日は、1日、家族もいないしね」
わざとはっきり言って、彼女の反応を確かめる。
すると栞菜は、ぱあっと明るくなった。
「えっ……ほんと?
それは………えっと、嬉しいです……」
そう言った後に、頬を赤らめる様子に、俺の中の何かが切れる。