5時からはじまる甘い罠。
「…え?」
怯えたように俺を見上げる彼女の目が潤んでいる。
俺の心はゾクゾクと震えた。
ああ、もしも今、彼女が俺の心を読めたなら、栞菜はすぐに怖くなって、俺の元を去っていくに違いない。
俺がいつだって、栞菜のことばかり、考えていると知ったら。
「……っ、あの、廉くん?
やっぱり、わたしなんかが廉くんのプライベートに踏み込んだりして、…迷惑だった?
それならごめんなさい。
だけど、わたし、どうしても明日、廉くんの家に行きたいんです……」
「……」
そんな間の抜けた返事で、
俺の再三の攻撃にもかかわらず、彼女は何もわかっていないことがわかった。
脱力。
いや……そういうところが、可愛いんだけど。