5時からはじまる甘い罠。
「……だめですか?」
「……。だめじゃないよ」
だめなわけないでしょ。
栞菜にそんなに可愛くおねだりされたら、俺はどんなことだって聞いてしまう自信があるのに。
「わかった、明日ね」
「……っ、うん!」
途端に顔を明るくして、微笑む栞菜を見ているだけで、俺の荒れた心は凪いで、満たされるなんて不思議だ。
……まぁ、ふたりきりで自分を抑えられる自信は正直、あまりないんだけど。
……やるしかないよね。
愛しい彼女の、ダイヤモンドより固い信頼を守るためなら。
純粋な子を本気で好きになると、男はいつも、修行だと知る。
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