5時からはじまる甘い罠。




翌日。



ピンポーン。



「……こんにちは」



玄関の扉を開けると、異様に可愛い彼女がにこりと笑って立っていた。



「……それ、どうしたの?」



俺がぼうっとしながらたずねると、



「……あっ。

えっと、へんですか……?

あの。髪型は、今日ヨウさんのところに行って、やってもらったの。

それで、服は……里奈ちゃんと一緒に、先週買いに行ったんだけど」



そんなことを、赤くなりながら慌ててしゃべる彼女のことを、抱きしめたくなるのをこらえて、



「……いや、変じゃないよ」



俺はまた、クールなふりをする。



「……よかったあ……」



栞菜が微笑む。



「廉くんに可愛いって、思ってもらいたかったから……」



ああ。


どうして今日に限って、そんな可愛いことばかり言うんだ?


触れたくなる手を抑えようと、力を込めて握りしめる。



「部屋、二階だから。上がって」



……冷静になれ、俺。


俺はなるべく普通に見えるように、歩き出した。





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