5時からはじまる甘い罠。
「勉強、教えて。
廉くん、頭いいし。
そう、一緒に数学がしたくて…」
「……ふーん」
意外な提案だった。
……ほんとにわざわざ、そんなことのためにウチまで?
まあ、別に、いいけど。
俺は、明らかに今思いついた様子の栞菜の提案に、乗っかってやることにする。
「じゃ、久々にスパルタ授業だね」
そう呟くと、栞菜はえ…と顔の色をなくした。
サラサラとシャーペンを動かしていた栞菜の手が、数式を書き終えて止まる。
「……こう?」
「違うね」
俺はにこりとした。
栞菜は、う……と首をすくめる。