5時からはじまる甘い罠。
こちらもつい熱が入り、気づいたら時計の針は4時を指していた。
まさか恋人とふたりきりで部屋にいて、勉強に熱中するとは。
当初の予想とはまるで違う成り行きだったけど、栞菜が満足そうだったので、まあいいか、と思う。
「……やっぱり、廉くん、教え方うまいねえ」
「そう?」
俺が尋ねると、彼女はうなずいた。
「すごくわかりやすかった」
「それはよかった」
「数学好きなの?」
「まあね」
俺はさらりと答えると、わたしは苦手、と栞菜は首を振った。
「じゃあこれからは、俺が栞菜の数学の先生になるよ」
そういうと、彼女は嬉しそうに笑った。
「本当?」
そうやってあんたの笑顔が見れるなら、俺はなんだってするよ。
本心からそう考えて、またちょっと意地悪したくなって、
本当に口に出してそう伝えてやると、
栞菜は予想通り顔を真っ赤にした。