5時からはじまる甘い罠。
2度目のキスは、息つく暇を与えないほど激しかった。
俺の普段抑えている情熱の片鱗が、彼女にバレてしまうような。
「……廉くん、あの」
「ごめん、栞菜。諦めて」
もう限界、と囁くと、目の淵まで赤くした彼女。
「廉くん……、ずるい」
俺はにやりとして、
「でも好きなんでしょ?」
と首を傾げた。
「…っ……意地悪……!」
俺は彼女の顎を指先で持ち上げると、教えてやった。
「……俺はお前にそう言われると、もっといじめたくなるんだよ」
栞菜は、眉をひそめて黙り込んだ。
そんなことで引いてたら、この先もたないよ。
俺は微笑んだ。
どれだけお前にベタ惚れなのか、
これからじっくりと教えるつもりだから。
わずかに光を灯すケーキのろうそくを吹き消す。
部屋は暗闇に包まれて、世界が2人だけのものになった。
END
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