5時からはじまる甘い罠。
「へんですか…?
わたしなんか、普通の頭しても、やっぱり…」
もはやちょっと泣きそうに尋ねるわたしに、廉くんはハッとして、いつも通り綺麗に微笑んだ。
「……もうわらしじゃなくて、女子高生だね」
「素直に褒めろよ…」
ヨウさんがポツリと呟いたけど、わたしにはよく聞こえない。
廉くんはひらひらと手を振ると、そのまま、テラスに戻ってしまう。
「ガキか、あいつ」
ヨウさんはまた、ポツリと何かを呟いた。
よく聞こえなくて、わたしが不安げにヨウさんを見つめると、気づいた彼は苦笑して答えた。
「廉は、似合うって言いたかったみたいだよ」
わたしは疑い深い目でヨウさんを見る。
……そんなこと、信じられる?