5時からはじまる甘い罠。



「またいつでもおいで」って見送られて、ヨウさんの店を出た、次の日。


わたしが教室に入ると、一瞬喧騒が静かになった、と思ったのは、錯覚だと思っていた。


けれど席に着いた直後。


前の席に集まる女子たちの反応で、それは本当だったとわかったのだ。



「「「わ……わらしーーー!?」」」







「どこの美容院!?

すげえ!!

腕良すぎない!?」


「いやあんた変わりすぎだよ。

誰だかわからなかったし!

なにがあったんだ」


「でも、いいじゃん!

いけてるよ!


あたし、今のあんたは好きだよ、わらし」




矢継ぎ早に質問してくるのは、数日前までわたしを空気扱いしていた女子たちで。


わたしはなんと言っていいのかわからず、相変わらずあわあわしていると、



「いや中身は変わってない、ただのわらしだ!!」



彼女たちは大盛り上がりしていた。



< 48 / 171 >

この作品をシェア

pagetop