5時からはじまる甘い罠。
不意になんだか恥ずかしくなって、
わたしは「こっち、みないで」と呟く。
「あのね、俺は栞菜がそう言うから、見たくなるんだよ」
全く悪びれないでそんなことを言うからずるいのだ。
「いつもそうやってわたしで遊ぶの、……やめて」
思わず言い返すと、
「そんなことないよ」
そう言って廉くんは頬杖をついた。
その目は窓の外を見ている。
「俺さ、女の子って苦手なんだ……面倒。
……付き合ってても、大体はすぐ怒るし、泣くし、彼氏が自分の思い通りじゃないとダメってなるし。
俺って見た目ほど優しくないみたいでさ。
だから栞菜といると、時々自分が女の子といる、って忘れる」
「……え」
……廉くんはすごく優しいと思うし、たぶん私は人並み以上に面倒くさい人間だけど……。
というか、女の子だと忘れるって……さすがのわらしも、地味に傷つく。