5時からはじまる甘い罠。
でも……廉くんみたいな人でもそんな風に思うなんて、不思議な気がする。
人にはわからないことが誰にだってあるんだな……。
わたしが廉くんの力になれたらいいのに。
……ってそんなの無理に決まってるんだけど。
わらしなんかじゃ……。
わたしがそんなことを考えながら神妙にしていると、それをじっと見ていた廉くんは、
栞菜はほんとーに素直だよね、と付け加えた。
「それって……悪い意味?」
尋ねると、廉くんは、
「すごく、いい意味」
わたしは、それでもなにか納得いかなくて、ハンバーグを無言で口に運んだ。
そして、廉くんと出会って初めて考えた。
廉くんが前に一緒にご飯を食べた女の子は、どんな子だったんだろう。
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