5時からはじまる甘い罠。
重い気持ちでいると、前の席で色んな子のヘアアレンジをしてあげていた里奈ちゃんが、珍しくこちらを振り返った。
「あんた、どれ出るのさ」
突然で驚いて、あわあわしたあげく、
「……えと、バレー……」
やっと答えると、眉をひそめられる。
「いや。
わらし、バレーなんかできないだろ」
その通りなんだけど、ぐさ、とささる。
……ていうか、球技はなんにもできないんですが……
「……が、がんばります……」
そう答えると、里奈ちゃんは少し目を見開いて、なぜかふっ、と笑った。
「しかたねえな。
頭貸してよ」
え、頭…?と固まると、無理矢理髪の毛を引っ張られた。
思わず、いた、とつぶやく。
里奈ちゃんは両手にアレンジ道具を持って、にやりと笑った。
「気合い入れた髪型にしてやるから、本気出せよ、わらし!」