5時からはじまる甘い罠。



「ば……、ばかって……」



流石に傷つくわたしに、廉くんは目を細めた。



「ばかだよ。

栞菜も知ってるでしょ、俺、意地悪だからね」



どんなご褒美にするか、楽しみ、と耳元で囁かれて、わたしは全身をかちこちにしてしまう。



「さ、ご褒美にむけてがんばらないとね」



そんなことを言いのこして、廉くんは次の試合のために、自分のクラスに戻っていく。


……やっぱり意地悪。


かーっと赤くなってその後姿を見送るわたしを、あ、と思い出したように振り返って、廉くんは微笑んだ。



「栞菜、その髪型、……けっこうかわいい」



「……っ」



たぶん、わたしがゆでダコみたいに赤くなるところを笑うまでが、悪魔な廉くんの嫌がらせ。







廉くんのクラスの試合は、わたしの願いとはうらはらに、順調に勝ち進んで。







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