5時からはじまる甘い罠。







「やー、ほんと、うまくいったよな。
更科のこと」



そんな男子の声が聞こえたのは、たまたま通りかかった廊下の隅の空き教室からだった。



「お前演技派だな。

まったくわざとに見えなかった」



「ま、もしかしたら、うまくいけば怪我してくれるかなー、って感じだったしね」



あまりにも酷い言葉が聞こえてきて、わたしは足を止める。


…な、何いってるんだ、この人たちは。



「あいつ、かっこいいからって調子乗ってるし。

ザマアミロ、って思った」



「けっこうみんな思ってるだろ。

おまけに、バスケもできるとかマジで腹立つ」



「いつも人を見下してる感じがするんだよね。

性格悪いよ。

バカにしてるっていうか」



「だよな。

女つくらないのも、裏で遊んでるからだって噂だし」


< 84 / 171 >

この作品をシェア

pagetop