5時からはじまる甘い罠。
「廉くんは優しいんです。
みんなに優しいです。
調子になんて乗ってません。
見下してなんていません。
確かに意地悪な時もあるけど……、ほんとは、周りをすごく見ています!
辛い時だって、自分は我慢して、人のことを気にしてばかりで……
廉くんは、ほんとうに、すごい人なんです!
それを、くだらない嫉妬で、わざと怪我させるなんて……、あなたたちは、最低です!!」
一度に言い切って、はあ、はあ、と肩で息をする。
こんな……こんなに、わたしが気持ちを叫べるなんて。
自分でも驚いていた。
先輩たちは困ったように顔を見合わせている。
「なんだよ、おまえ」
「そんな熱くなってバカじゃね?」
すると先輩の1人が、あっ、と何かに気づいた声を上げた。
「思い出した、弟が言ってたんだ。
こいつ、あれだよ。
更科につきまとってる地味な女。
なんだっけ……、そう、わらしだ」
そんなに指摘に、かあ、っと羞恥心で顔が熱くなる。