5時からはじまる甘い罠。
「ばか」
保健室に戻ると、向かい合わせにベッドに座らされて、また怒られた。
「大人数の男相手に喧嘩売るとか、あんた何考えてんの?
もし乱暴されたら、どうするんだよ」
「……ごめんなさい」
「そういうときは、呼んでよ。
そんなに頼りにならないの?俺」
「……っ」
そんなわけない。
わたしが首を振ると、廉くんはため息をつく。
それから笑って、涙で濡れたわたしの鼻を指でつまんだ。
「……うぅ」
息ができない……。
ていうか、あの。
廉くんはあの空き教室からここまでずっと、わたしを片腕で抱きしめたままなんだけど………。
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