5時からはじまる甘い罠。
「……栞菜」
いつもと違う、真剣な口調。
なぜか息を止めてしまう。
「俺……」
廉くんの吐息が、耳元で聞こえる。
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「………。
やっぱ、今はまだ、いい」
廉くんは私の体を離すと立ち上がった。
とまどって見上げると、彼はわたしの顔を見ずに保健室をでようとする。
「…あの、怪我は」
「あー。もう、思い出しても頭きたわ」
…え。
「どこ行くの…?」
「試合、行く」
止めようと慌てるわたしに、廉くんは告げた。
「ご褒美、覚悟しとけよ」
「でも……っ」
「あんな奴らにつけられた傷くらいで、俺が負けるとでも?」
その笑顔に、わたしはぞくりとした。
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その後のプレーは凄まじかったらしく、
ほんとに優勝してしまった廉くん。
彼は、やっぱり、すごい……(こわい)人です。