5時からはじまる甘い罠。



「……っ」



な。


これ……


膝枕、というものでしょうか……


驚いて真っ赤になるわたしが、腰を引こうとすると、



「動かないで……

柔らかくて、気持ちいいんだよね」



穏やかに、だけど有無を言わせない口調。


リラックスした表情を浮かべる廉くんは、わたしの瞳を下から見つめている。


わたしは、かちん、と固まった。



「……れ、廉くん」



「あー、幸せ。

このままずっと、こうしてたい」



わたしは、パッと視線を逸らした。


もう、ずるい。


前からだけど、やっぱりずるい。










でも廉くんはしらないんだ。


わたしが、前よりずっと本気で、廉くんの言葉に心を揺さぶられているなんて。



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