強く生きろ〜紅き誓い〜

その時、ヒュンッと千尋の背後から何かが風を切った。素早く何かがシュアンに向かって飛んでいく。

「ああっ！！」

シュアンの悲鳴が聞こえ、千尋は前を向いて驚いた。シュアンの背中に大きな矢が突き刺さっていた。兵士たちは動けなくなったシュアンをニヤニヤしながら見ている。

兵士たちは銃を倒れ込んだシュアンに放つ。それをシュアンは慌てて避けた。それを何度も繰り返す。シュアンの息は、訓練をした時以上に荒いものとなっていた。

シュアンの体に傷がいくつもできる。シュアンの表情は、誰が見ても苦しげなものだった。

もしも、この中に飛び出して行ったら千尋も撃たれてしまうかもしれない。この時代は千尋の生きている時代じゃない。ここで死ぬということは、未来のことを変えてしまうかもしれない。

それでも、考えている余裕などないのだ。千尋は閉じた目を見開き、「どけぇぇぇぇぇぇ！！」と叫びながら銃を空に向かって放つ。

突然森から現れた千尋を見て、兵士たちはシュアンに攻撃をするのをやめる。千尋はシュアンを抱き上げ、近くの建物へと避難した。兵が入ってこられないようにバリケードを作り、床に倒れたシュアンの傷の様子を見る。