強く生きろ〜紅き誓い〜
「…………ちひろ…………あんたに聞きたいこと…………あるんだ」

「何ですか?」

油をまかれていたのだろう。燃えていくスピードが早い。部屋に黒い煙と炎がが充満していた。

「あんたの…………生きてる…………時代……は……へ、平和…………なのか?」

「はい、きっと平和です。ベトナムは多くの観光客が訪れる国になっていますよ」

「…………そうか…………」

戦場では泣いてはいけない。シュアンに言われたことだが、千尋は泣かずにはいられなかった。今目の前で、自分と同じ年の女の子の命が終わろうとしているのだ。

「…………あんたは…………生きろ…………。辛いこと…………たくさんあるかもしれない…………でも、生きろ…………。あたしのぶんも…………この戦争で………………死んだ人のためにも…………。あたしの……最後の…………願いだ…………」

目の前がぼやけていく。千尋の目には、ボロボロになったシュアンと炎の手しか見えない。

「……はい!ここに誓います!あなたのぶんまで生きぬきます!」
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