強く生きろ〜紅き誓い〜
「まあ、待ちなよ」

男性たちが「殺そう」と言っている中、背の低い千尋と同い年くらいの女の子が腕を組みながら前へと進む。

「この女が敵国のスパイなら、情報を聞き出せるかもしれない。拷問はあたしに任せてあんたらはさっさとここから出て行きな」

千尋は生かされることにホッとしたのもつかの間、女の子の口から出た「拷問」という言葉にまた体を震わせる。殺されようが、拷問されようが、苦痛を感じることに変わりはない。

「……そうだな、女同士の方がいいだろう」

男性たちはそう言い、テントから出て行く。女の子は千尋に背を向けてそれを見つめていた。千尋は逃げようとするが、固く結ばれた縄は解けない。

「さて、あんたを拷問しなくちゃね」

女の子は振り向き、ナイフを取り出して千尋に近づく。千尋は悲鳴を上げた。

「まだ何もしてないから騒ぐな!!」

女の子は千尋の頰を引っ叩き、首を絞める。千尋は苦しさから足をバタつかせ、女の子は千尋から手を離した。
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