俺様社長のプロポーズ?!
…再び、社長室のドアの前。

私は深呼吸すると、ノックをして、ドアを開けた。

「残業だったのか」
「は、はい」

「帰るぞ」

社長の言葉に小さく頷く。

地下駐車場に降りると、私は社長のプライベートの車の後部座席に乗った。

社長なりの優しさのようだった。

他の社員に、似つかわしくない二人が一緒にいれば、しめしがつかないし、私の身に、何かあってからでは遅い。

…大きな一軒家。

中には、家政婦が一人。

私のことは知らされていたようだ。

「家事全般、家政婦の安藤さんがしてくれるから、なにもしなくていい。困ったことがあれば、安藤さんに、聞くといい」

「…はい。宜しくお願いします。安藤さん」

私の言葉に、とても柔らかな笑みを浮かべた安藤に、私はホッとした。

遅い夕食を済ませ、片付けを終えた安藤は、隣接された家に戻っていく。安藤は、そこで生活しているようだ。

私は指定された部屋に行く。

そこには私の荷物が綺麗に片付けられていた。

今日から、ここが、私の家。

私は深い溜め息をついた。

…ガチャ。

ノックも無く、突然ドアが開いて、私は驚いた顔でそちらを見た。
< 7 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop