俺様社長のプロポーズ?!
驚く私とは反対に、やはり冷静な顔の社長。

「…突然なんですか?」

その場から動けないまま、少し震えた声で問う。

社長は何を言うでもなく、静かに私の目の前にやって来た。

そして、私の長い髪にそっと触れた。

私はビクッとして、怖くなって、怯えた目で社長を見返す。

…。

どうしてそんなに切な気な顔で私を見るのか?

「…社長」
「…どうして」

「…」
「何もかも忘れてしまった?」

…私たちの間で何かあったのか?

いや、私にはやっぱり社長は初めて見る人だ。

「あんなに愛らしい笑顔を向けてくれたのに」
「…私は、何を忘れてるんですか?」

私の問いには答えない。

私の髪から手が離れた。

「週末は俺に付き合うように」

それだけ言うと、社長は部屋を出ていった。
< 8 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop