妖狐の瞳に恋をした
日常と淋しさ
改札を抜け駅から目的地を目指す。

周囲の樹々には新しい緑が芽吹き、春の爽やかな風が新緑の香りを

運んでくる。

目的地が近づいて来ると見知った顔が多くなってきた。

すると、後ろからいつもの明るい声が聞こえてくる。

瑠璃(ルリ)~、おはよ~!」

「あ、(モエ)、おはよう!」

「今日の授業、瑠璃は大丈夫?

 仕組みや制度とかって難しくて私にはさっぱりだよ~」

くるんとカールされた髪を揺らし大きな目をクリクリさせながら

ちょっと口を尖らせて目じりを下げる萌はいつ見ても可愛い。

「そお?確かにいっぱいあるあら覚えるのは大変だけど、何度も

 勉強すれば覚えられるよ。一緒に頑張ろうね!」

「もう~!瑠璃はいつもそうだから~。

 はいはい、覚えるまで勉強すればいいんでしょ」

そう言うと萌は拗ねたように頬をぷくっと膨らませた。

その顔を見ながら私もフフッと笑みをこぼす。


萌と私はそんな会話をしつつ学校へと入っていった。

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