妖狐の瞳に恋をした
翡翠は私をリビングのソファーに座らせ、コーヒーを運ぶ。

私が部屋の凄さに放心状態になっている間にコーヒーを淹れてくれて

いたようだ。

「瑠璃に相談せずにここまで決めたのは悪かったが、俺も今後仕事を

 するとなると、立場的にもある程度のセキュリティーを考えないと

 ならない。もちろん、瑠璃を護るためにもだ。

 ここなら、瑠璃の学校にも近いし通いやすいと思うが・・・」

「驚いたけど、翡翠の気持ちは伝わってるから大丈夫。

 ここから、私達の生活が始まるんだね。」

にこやかに翡翠の顔を見るとホッとした顔を見せてくれた。

「瑠璃の家だが・・どうする?」

小さい頃から私の育った家、無くなってしまうのは淋しいけど・・・。

考え込んでいると、翡翠が私の頭をポンポンと撫でる。

「引っ越しはするが、家はそのまま置いておこう」

「いいの?」

「いいさ、俺にとっても瑠璃との思い出のある家だ」

「ありがとう」

翡翠の優しさに感謝しながら、温かい腕にくるまれていた。
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