妖狐の瞳に恋をした
翌日は、朝早くから引っ越しが行われ浅葱さんの手配した引っ越し

業者さんのてによって、午前中の内に引っ越しが終わった。

私ひとりだったら、いつまでかかっていたのか・・・。

午後からは、翡翠の運転する車で一緒に百貨店に向かっていた。

「翡翠って、運転できたんだね。というか、免許もってたんだね。」

「昔、こっちに遊びに来た時に親父に取らせられた。

 まさか、役に立つ日が来るとは思わなかったな。

 瑠璃に会わなかったら、運転しないままだったんだろうな。」

「そうなんだね、それにしても凄い車・・・」

「親父から、婚約祝いって午前中届いた。」

私達が乗っているのは、車に疎い私でも知っている黒い高級外車だった。

改めて、翡翠がお金持ちの御曹司だと認識し、自分との違いに俯いて

しまった。

「瑠璃は気にし過ぎ、俺も俺の両親も瑠璃だから婚約を認めたんだ。

 瑠璃は俺が金持ちだから好きになったのか?」

「そんな!違う!」

「だろ。瑠璃は妖狐の俺を好きになったんだろ。

 後から、他のものがおまけでついてきただけだ。」

「自信を持って、俺の隣にいろよ」

そうだ、私は翡翠が好き。蘇芳さんにも、言われたんだった。

お互いを信じないと、私は右耳の耳飾りを触って、力強く頷いた。
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