妖狐の瞳に恋をした
「折角だから、俺の淹れた珈琲でも飲んでいってくれ。

 るーちゃんは、バイトの準備だよ。」

「「はい」」

バイトの間、翡翠とマスターはいろいろと話していたみたいで

暫くすると、マスターから今日は翡翠と帰るように言われた。


部屋に帰ってから、翡翠にマスターの事を聞くと話してくれた。

マスターの名前は、常磐(トキワ)さんで、翡翠のお父さんの友達で

以前、鬼族の祭りで会った紫黒(シコク)さんの叔父さんにあたるらしい

マスターは昔、人間と恋に落ちたという、でも周りが許してくれず

いろいろ説得しているうちに、相手の人は事故で亡くなってしまった

それからは、妖の世界には戻らず彼女の好きだった珈琲の店、デュパン

を始めて、今に至るということだった。

悲しい恋の話だった。

それを考えると、私と翡翠は恵まれていたんだと周りに感謝した。
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