妖狐の瞳に恋をした
パーティー会場の扉が開き、翡翠の腕に手を絡ませ二人並んで歩く。

翡翠には羨望の眼差しが向けられ、隣の私には探るような訝し気な

眼差しが向けられる。

思わず翡翠の腕を掴む手に力が入る。

「瑠璃、大丈夫だ。俺がいるだろ」

そんな私の気持ちを落ち着かせるように、頭上から優しい眼差しと

声が落とされる。

「うん、ありがとう」

真直ぐ前を見て、お父さんと菖蒲さんが立つ壇上に向かった。

私達が壇上に上がると、お父さんが挨拶した。

「今日は、私共フォキシーコーポレーションの創立パーティーに参加

 頂きありがとうございます。皆様のおかげでここまで事業を進めて

 来ることができました。本日は、皆様への感謝をこのような形で

 開催いたいました。

 また、本日は私共の息子、翡翠の婚約披露も兼ねております。

 若い二人ですが、どうぞ暖かい目で見守っていただければと思って

 おります。」
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