妖狐の瞳に恋をした
妖力の覚醒
それから何事もなく過ぎていった。

翡翠はああ言っていたけど、気にし過ぎだよね。

私は人の嫉妬の気持ちの怖さを甘く考えていた・・・。


あの、パーティーからひと月程たっていた。

いつものようにバイトを終え、マンションまでもう少しという所で

「笠井瑠璃さんですか?」

「はい」と振り向くと同時に口元に何かを押し当てられ、私の意識は

遠のいていった。


気がつくと、そこは薄暗い倉庫のような場所だった。

「ここは・・・」

「あら、気がついた?」

「あなたは・・・桜さん・・」

「覚えていたの?私、あなたに言ったわよね。

 何故、まだ翡翠さんの側にいるの?」

「私は翡翠の側をはなれません。」

バシッ!また、頬を殴られた。

「あなた邪魔なのよ。でも、それも今日で終わり。

 あなたはもう翡翠さんの元には戻れなくなるわ。

 私の言う事を聞かなかった罰を受けてもらうわよ。」

そう言うと、数人の男の人達が部屋の中に入ってきた。

「じゃあ、この女のことお願いね」

桜さんは機嫌よく部屋を出ていく。
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