妖狐の瞳に恋をした
「んんん・・・」

「瑠璃、瑠璃!」

重い瞼をあげると、焦ったような翡翠の顔が目の前いっぱいに現れた。

「エッ!何・・・?」

「何じゃない、瑠璃は三日も目を覚まさなかったんだぞ。

 いきなり居なくなるし・・、見つけ出すと狐火に包まれていて・・・。

 ホント、心配した。瑠璃の目が覚めて良かった・・・。」

私を抱きしめながら、翡翠は言った。

私を抱きしめる翡翠の体は、微かに震えていて、それだけでどれ程の

心配をかけたのか伺い知れた。

「心配かけてゴメンね。もう、大丈夫だよ。」

「あぁ、瑠璃が寝ている間に湯川は潰しておいた。

 もう、俺達の前には二度と現れない。」

え?ちょっと物騒な単語が聞こえた気がしたが、私も二度と関りたく

なかったから、触れないことにした。
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