妖狐の瞳に恋をした
先生の勧めてくれた介護の仕事は、私の思いにしっくりきた。

その日家に帰った私は、早速祖母に進路について相談した。

祖母は、私の気持ちを知って喜んで応援してくれた。


だけど・・・


そんな祖母が私が高校3年になって直ぐに倒れた。

病院での診断は、、、

ステージ4の肺癌、余命半年と宣告された。

それでも祖母は気丈に振る舞い、いつも笑顔をみせてくれていて

癌なんて治ったのかもと思う程だったが、私が専門学校に入学が

決まって直ぐに、安心したように呆気なくこの世を去った。

私の手元には、祖母がコツコツと私のために貯めてくれた預金通帳と

祖母との思い出の詰まった家が残った。


祖母が亡くなり、何のためにこの学校に通うのか少し迷う自分・・・

“ダメ、ダメ。

 とりあえず、おばあちゃんが応援してくれたこの道を進んでいこう”


呟くように自分に言い聞かせ、授業の声に耳を傾けた。
< 3 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop