妖狐の瞳に恋をした
ニッコリしながら職員さんを見送る若葉さんを信じられないと

いう顔で見つめていると

「こういうのは要領よ。笠井さんはそういうの下手よね。

 その分私が上手くやるから心配しないで」

「あの、さっきの移動は私がやったんですけど・・」

「でも、あの職員さんは私がやったと思っているんじゃない」

フフフと鼻で笑うように言う。

言い返したかったが、何を言ってもダメな気がして止めた。

その後も食事の介助も私がするが、職員さんがくるタイミングで

変わったりを繰り返し同じようなことが何度も起きた。

帰りには、職員さんに若葉さんを見習ってもう少し積極的に取り組む

ようにと注意されてしまった。
< 34 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop