妖狐の瞳に恋をした
キーンコーンカーンコーン

授業終了のチャイムが鳴る。

「瑠璃、これから買い物に行かない?」

萌がニコニコしながら声を掛けてきた。

「萌、ごめん!今日もこれからバイトなんだ、また誘って!」

両手を合わせて、頭を下げる

私が断るのはいつものこと、学校の学費は祖母が残してくれた貯金

で間に合ったが、生活していくにはお金がかかる。

私は、毎日のようにバイトに入っていた。

本当は萌と一緒に買い物にも行きたいが、そうもいかないのが現実

「じゃあ、今度買い物行こう。絶対だからね!」「うん!」

笑顔で声を掛ける萌に手を振って別れた。



私がバイトするのは、駅前近くの喫茶店“デュパン”

アンティークな雰囲気が漂う店内は、流れるように心地よいJAZZを

BGMに馴染みのお客さんがほとんどの落ち着いたお店、店名は推理

好きのマスターが小説の中に出てくる名探偵の名前からつけたらしい。

専門学校に入学してから働き始め1か月となる今ではお客さんから

“るーちゃん”と声をかけてもらえるようにもなった。

デュパンのドアを開けると、コーヒーのいい香りが鼻をくすぐる。

「あ、るーちゃん、お帰り!

 るーちゃんの顔が見れてラッキーだな~」

お馴染みさんの岩井(イワイ)さんが声をかけてきた。
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