妖狐の瞳に恋をした
翡翠に促されるまま、二人の向かいのソファーに腰かけた。

「瑠璃さん、初めまして。翡翠の父の月白(ゲッパク)と母の菖蒲(アヤメ)です。」

「は、初めまして。笠井瑠璃です。」

この二人が翡翠の両親・・・翡翠の綺麗な顔に納得した。

両親を前に翡翠が話し始めた。

「前にも話したが、俺にもやっと対が見つかった。

 この瑠璃が俺の対だ。瑠璃は、人間だったが俺が血を与え妖狐に

 なった。

 瑠璃には、こっちの生活もあるし、俺もこっちで瑠璃と暮らす。

 仕事は、来週から始めようと思う。」

翡翠の両親はジッと翡翠の話を聞いていたが、翡翠の話が終わると

私を見て口を開いた。

「翡翠の気持ちは分かった。瑠璃さんは、どうだい?」

「は、はい。私は一度翡翠の気持ちも、自分の気持ちもが分からず

 離れてしまいました。でも、離れて翡翠が自分にとってどれだけ

 大事な人なのか気づきました。

 もう、何があっても離れたくはないんです。

 私と翡翠のことを、どうか許してください。」

私の気持ちを込めて頭を下げた。
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