意地悪な幼馴染は逃げた初恋を追いかける。
あの時。結局、先約があって…なんて、よくわからない理由で、一度はした約束を断ってしまった。
彼は、少し悲しそうに、そっか、と答えて、最後まで親切な物腰を崩さないでいてくれた。
それ以来、青山くんとは話す機会がなかったのだ。
少しだけ気まずい気分で、そうだね、と頷くと、青山くんは全く気にしていなそうに、
「知り合いと一緒だと、やっぱり嬉しいよね。
なにせ、この委員、仕事が多い分委員同士のかかわりが多いし」
私も同意した。
全く知らない人よりも、少しでも面識がある人の方が、やりやすいこともある。
でも知り合いだということ以上に、青山くんの穏やかな優しさは、仕事に不安になっていた私を安心させてくれた。
青山くんは、どうやら、本当に本当にいい人らしい。
「これから二週間、よろしくね」
そういって手を伸ばしてくる青山くんに、私は手を伸ばし返す。
机の上で、二人の手が優しく握られた。