意地悪な幼馴染は逃げた初恋を追いかける。
思わず赤面した私に、颯の氷のような視線が突き刺さった。
緊張も、腹立たしさも忘れて、震える。
何。
何。なんなの。急に怒ったり、笑ったり、話しかけてきたり。
もう、こいつ、全然わからない。
関わりたくない。私が変わったように、颯も私の知ってる颯じゃないんだから。
すっかり怯えきった私は、押し付けるように資料を渡すと、颯から顔を背けた。
「……どうも。
まあ、本番、楽しみにしてるよ、ミスターコン委員さん」
……本来、楽しみにされるのはファイナリストの颯の方じゃないんだろうか。
とりあえず、私の手から冊子を受け取った颯は、大人しく空いている席に着いた。
どことなく、その表情はまだ固いけども。