これからもずっと君のとなりに。
私は普段は言えないお見送りの言葉を口にする。
自分でも無意識だった。
私、なんで彰なんかにこんなこと言ってるんだろう。
自分でも分からなかった。
でも、いつもと少し違う彰に、何か引っかかって…
彰は私の言葉に少し目を見開いたが、やがて嬉しそうに優しく微笑んだ。
「…!ありがとう梨那がそんなこと言ってくれるなんて嬉しいよ。」
ポンッと私の頭の上に乗せる彰。
「今までごめんね………。幸せになって、梨那………ーーーー」
私に背を向けて、歩き出した彰が呟いた声は、梨那には届くことはなかった………ーーーー
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今の時刻は夜の7時。
彰はまだ帰ってこない。
彰はどんなに仕事が長引いても、今くらいの時間には帰ってきていた。
それに、今日は仕事じゃない。